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2008年09月11日

野球観戦と畳の海外進出

少し前、福岡ヤフードームに野球を観に行きました。
グラウンドにせり出す形で客席が作られていて、選手のプレーがすぐ目の前で観戦できる席でした。
試合自体は一方的な試合で、あまり楽しいものではなかったけれど、
手を伸ばせば届きそうなところで繰り広げられるプレーは迫力満点でした。
これは良い取組みだと思った。もっと思い切った形でこの取組みを広げていって欲しいものです。
ボールを打つ時のコーンという乾いた音まで聞こえるし、
ファーストまで走りこんだ選手と、これ以上はないと言える程のギリギリのタイミングで送球された内野手からのボール、今までは単なる「内野ゴロ」という記号的な認識しかなかったプレーに感じる迫力。
アウトになった選手が悔しさを滲ませながらベンチに戻る時の息遣いまで感じます。
ライナーのファールボールがすぐ横の席に当たった時は驚きました。すさまじい勢い。頭に当たったら死ぬだろうと思いました。
これがプロの打球かと戦慄しながら、慌てて座席の下に置いてあるグラブを手にはめました。安全のために。
空いた手でビールを飲み、ツマミを食べながら、プレーを観ました。
いつの間にか無心になり周りの音も気にならなくなり、一球一球に集中していったのです。

メジャーリーグでは観戦時、大人も子供も皆グローブを持って行きます。
アメリカでプロのベースボールの試合が行なわれるようになった頃はプロのチームもそれほどあるわけでもなく、
地方巡業時は、プロチーム対地元の腕自慢寄せ集めチームの試合が行なわれることも珍しくありませんでした。
観客席があるわけでもなく、観客達はグラウンドで試合を観ました。
観客が飛び入りで試合に参加することも普通だったそうです。
その頃の精神が今も残っています。残っているというか、それがベースボールの本質な気もします。
観客は試合を観るというよりも、観戦という形で試合に参加している感じだ。
球場も客席とグラウンドがなるべく近くなるように設計されているし、観戦に邪魔なネットも基本的にはありません。
ベースボールはアメリカの成長とともに育っていった、アメリカの文化が非常に色濃く出ているスポーツの一つ、またはアメリカ文化そのものなのかもしれません。

日本の野球場はどうでしょうか。
客席には安全のためにフェンスやネットがはられ、空間的にグラウンドと分けられています。
はるか遠くでプレーする様を、やたら上の方の席から見下ろして眺めるしかないのです。
ガンガン、プープーと騒音を発しながら騒ぐ応援団も含め、全ての観客は野球というショーを観て(或いは観ずに騒ぐことを)楽しんでいます。
日本人にとって、テレビ中継で試合を観るのも、球場に行くのも、本質的な違いはないのです。
ただ、球場に行けば単純な意味でのライブ感というか雰囲気が味わえるし、騒ぎながら観れるという違いだけなのです。

どちらが良いかという話ではありません。
野球の観方一つをとっても文化の違いというものはあるということです。

例えば「古池や蛙とびこむ水の音」という句を聞いて日本人が思い浮かべる、シンとした静けさの中に切り込むように水音が響き、また静寂の中に溶け込んでいくような、ほのかな緊張感がある空間。
自然の静寂の中において平安と緊張感は同居していて、その雰囲気を小さな水音がより強く浮き彫りにし、自分の心と風景が同調して一つになっていくような感覚。
このような感覚が本質的に理解できるアメリカ人はそれほどいないだろうと思います。

しかし、野球の楽しみ方を、本質的には分かっていなくても自分流で楽しんでいれば良いし、
カエルが池に飛び込む映像を、映画の一場面のように想像して終了してもいいのです。
文化の差異はあっても優劣は無い。ただそこに差異があるだけです。
畳は特に日本文化の色濃く出ている物です。穿った言い方をするなら日本文化そのものです。
畳を海外に販売していこうとする場合は、文化の差異を理解し、対応しなければ、単なる自国の文化の押し付けか、ニーズの無い商品を持って右往左往するだけのマヌケな営業になってしまい、結局は現地の日本マニアか駐在日本人相手だけの商売で終わってしまいます。
私達ピソコモドは、この問題をクリアするノウハウを蓄積・実践しつつあります。
世界中の様々なライフスタイルに溶け込み、日本の畳が世界の畳になるのはもうすぐです。

投稿者: ishibashi 日時: 2008年09月11日 07:40 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ

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